
昨日も残された食器を見て、ひとり考えた。
この人は、人の気持ちを想像できない人なんだ。
人がどうされたら嬉しいとか、どうされたら悲しいとか。
どうされたらどんな気持ちになるかとか。
もちろんこの人だって、人をよろこばせようとする。
だけどそれは、ごますりみたいなやり方だ。
そして人のためになにかをするのは、自分の評価を上げるため。
こういう話をしたら人がどう感じるだろうか。
こういう態度をとったら人がどうするだろうか。
それを感じる能力が著しく欠如している。
だから人間関係で失敗ばかりしている。
よくしてくれた人を失ってばかりいる。
人を評価しないから、人に評価されない。
人を認めないから、人に認められない。
役に立つものを利用するだけだ。
僕はそう感じる。
悪気なくそうやっているんだよ。
だって「わからない」人なんだもん。
もしかしたら自閉スペクトラム症かなって思う。
いわゆる大人の発達障害だ。
だから注意しても言っても仕方がない。
通じないし、理解できないのだ。
だって僕は専門家でも医師でもないもの。
対処法も知らなければ治療法もお薬も知らない。
彼はなにを言われているのか、たぶん本気でわからないのだと思う。
どうして人が怒るのか、どうして人が困るのか理解できないのだ。
自分はよかれと思ってやっているのに、自分が評価されないことや自分が注意されることがなぜなのか理解できない。
彼は想像できないから。
仕事のやり方には強いこだわりもある。
そして人の仕事は尊重せずに、自分の仕事が一番重要でなによりも最優先。
譲れないからぶつかって他の人が仕事をしにくい。
だけど、どうして他の人がやりにくいと感じるのかを理解できないのだ。
昔で言われる所謂アスペ、アスペルガー症候群の傾向が強いと感じる。
おしゃべり好きでコミュニケーション能力に一見問題はなさそう。
だけど、よく対人関係でトラブルを起こしている。
無意識で人を不快な気持ちにさせている。
例えば4人いて、4人で話しているとき。
その中のひとりが僕だったら、3人にだけコーヒーを出したりする。
出されなかった僕がどんな気持ちになるのかを説明しても、理解したことがない。
コーヒーが飲みたければ自分で淹れろの一点張り。
そういうことではないのだよ。
僕のことが嫌いだとしても、仲間はずれにするようなことをされたらどんな惨めで悲しい気持ちになるかという話をしても、コーヒーを飲みたかったのに淹れてくれなかったからキレているというふうにしか考えきれないのだ。
そして話は冒頭に戻る。
夕食を食べ終えた後、いつも僕の食器だけ残される。
僕にとっての普通は、みんなのお皿を重ねて持っていくこと。
誰か一人だけの食器を残すなんてことはしない。
だけど本人は、意地悪のつもりはないのかもしれないと思う。
そしてそれを伝えても、食器を持っていって片付けてほしくてこいつは文句を言っているのだと理解する。
だから食器ぐらい自分で持って行けとキレられる。
自分の分だけ残される人の気持ちが、彼には理解できないのだろうと思う。
僕が尽くす価値のある人間なら、彼はよろこんで僕の食器を下げるし、僕のコーヒーを出すだろう。
だけど僕は残念ながら彼にとって、尽くす価値のない人間なのだ。
つまり何かをするメリットが自分にはないから、何もしない。
彼の人間関係は、損得勘定、それが彼の価値観の大部分なのだ。
だから僕とは重なり合えない。
だから僕は適度な距離をとる。
母は近づけさせようとするが、そもそも合わない人間が過度に近づきすぎるとろくな事にならない。
適度な距離があった方が平和なのだ。
過度に近づきすぎるのも、過度に離れすぎるのも問題で、人にはそれぞれ居心地のいい距離感があるのだ。
近づけたい気持ちもわかるけど。
僕はもうほとんどイライラしない。
勝手に診断結果を出しているし、そもそも「わからない」人に何かを言っても伝わることは絶対にない。
彼はそれが理解できないのだから。
自分がしたことによって人が抱えるかもしれない苦しみや悲しみを、彼は「理解できない」のだ。
その能力が著しく欠如している人に、無理やりやらせるのは拷問のようなものだろう。
計算が苦手な人に無理やり経理をやらせたらどうなると思う?
そういうことだよ。
そんなことに時間や心を裂くよりも、やるべきことをやった方がいい。
僕の結論はそうなった。
それだけの話。
だからもう腹を立てることもあまりない。
期待はもう絶対にしない。
人の生き方だ。
通じない人には通じない。
わかり合えない人とはわかり合えない。
だったらせめて、ぶつかり合わない距離で生きるのみ。
それがお互いのため。
恨んでも怒っても、エネルギーを使う。
どうにもならないことで疲れて悩んでも、そもそも「どうにもならないこと」なんだよ。
それをどうにかしようとするから軋轢が生じる。
どうにもならないことは、どうにもならないのだ。
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