
まだまだ死ぬはずのない人が亡くなった。
しかも、本当にお世話になった人が。
僕はその人に救われた。
体も心も救われた。
それは一瞬の救いではなかった。
その後ずっと、その言葉に救われ続けている。
そして悩みや壁にぶち当たるたびに思い出している。
きっとこれからもそうだろう。
何かあるたびに思い出す。
これからも僕を支え続ける。
僕の生き方の根幹になる考え方。
そんな言葉をくれた人だった。
体調が悪そうだな、とは思っていた。
少しお休みされてたことも知っていた。
だけどコロナが落ち着けばまた会いに行こうって思ってた。
これからもずっと付き合いは続いていくと思っていた。
僕が結婚して家族ができたら、家族ごと診てもらおうと思っていた。
親も、奥さんも、子供も、自分も。
僕の担当医はこの人。
まだできてもいない家族の未来。
そんなことまで勝手に考えていた。
先生が、亡くなったって。
昨日の夜聞いた言葉。
どの?あの?
わかってるのに聞いてしまった。
信じられなかった。
まだそんな年齢でもない。
体調が悪そうだとは思ったけど、まさかそんな。

またしっくんさんと関わることができて、私もうれしいです。
そう言ってくれたんだよ。
体も治しましょう。
体力も回復させましょう。
希望を持ちましょう。
きっと、透析を離脱できるようになる。
医学の進歩を体を大切にしながら待ちましょう。
顎のイボも取りましょう。
いつでも取りますよ。
いつにしましょうか。
この顎のイボ。
いつの間にかできたやつ。
いつでも簡単に取れるよ。
すぐだよ。
取ろうねって、約束したのに。
嘘だよ。
信じられないよ。
夢か現実かわからないまま、昨日が終わって。
朝、お悔やみ欄を見るとそこに名前があった。
年齢も同じだった。
あれ、こんな漢字だったっけ?
名前の漢字が違うくない?
とか、脳が認めたくないらしい。
脳も心も認めたくないらしい。
だってまだ死ぬような年齢じゃないだろ。
まだまだあるだろ。
やり残したことが。
救える人がいただろ。
僕も。
誰に話せばいいんだよ。
誰にわかってもらえばいいんだよ。
誰に聞いてもらえばいいんだよ。
これから先どうすればいいんだよ。
わからないよ。
誰かに話したい。
この悲しみや苦しみを誰かに聞いてほしい。
先生との思い出を話したい。
話したいけどきっと、この想いは先生にしか伝わらない。
僕がどれだけ救われたか。
これからどれだけ先生と過ごしたいと思っていたか。
語り合いたいと思っていたか。
聞いてほしいと思っていたか。
話したいことがたくさんあったよ。
聞きたいことがたくさんあったよ。
食べてほしいものもたくさんあったよ。
見せたいものもたくさんあったよ。
だけど僕は遅すぎた。
僕は間に合わなかった。
なにひとつ、叶わなかった。
助けてもらったのに。
救ってもらったのに。
闇の中に光を教えてもらったのに。
絶望の中希望を見つけてもらったのに。
何も返せていないのに。
悲しいね。
苦しいね。
どうしていいのかわからない。
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